パエリア〜世界一周できるその日まで〜

世界一周旅行記の本を出版する前にこちらのブログで記事の試作をさせて頂いております。

4章 「カジノ」

見たことの無いような数々の素晴らしい車が並べられた光景を目の当たりににしながらその中を突き進み反対側にあるカフェ・ド・パリのレストランに入るとスタッフさんが笑顔で迎えて下さりテーブルに案内して下さる途中で超高級車がズラリと並んだ宮殿を指差して何か話してくれました。

 

 

「あのカジノには行かれたかを聞かれています。」

 

 

とスーさんが訳して下さり合点がつきました。

 

 

宮殿のような物だと自分が思っていた建物こそ、モナコカジノの象徴でありパリのオペラ座を設計した建築家シャルル・ガルニエによって建てられたカジノ・ド・モンテカルロだったので道理で高級車ばかりが停まっている訳でした。

 

 

モナコに到着したばかりで、まだカジノには行っていないんです。」

 

と柔らかく埋もれてしまいそうな椅子を引いてくれたスタッフさんに返事をすると

 

 

「今の時間はディナーが終わって来る人も多いから車を見ても楽しめたのでは無いですか?

 

こちらのレストランの横にもカジノがありますから宜しければご覧になって下さい。」

 

とウインクして仰って下さったスタッフさんに外でパシャパシャ写真を撮りまくっていた、こっけいな自分が見えていたのだなと解りました。

 

 

メニューが読めない自分は読み上げてもらった中からリゾットと牡蠣とスープを注文させて頂き店内を改めて見渡すとベルエポック様式と呼ばれる窓や貝の形の装飾されたオブジェに素敵なお店だなと思わせて頂けました。

 

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提供して頂いた牡蠣にレモンを絞って求めていたお米のリゾットとスープに舌鼓をうちながら、あの建物が007のカジノ・ロワイヤルで撮影舞台に使われた場所なのかとネットで見かけた情報がすぐ近くにある事に感動していました。

 

 

目当てにしていたお米を食べれエネルギーを補給できたので20歳の時の大怪我で寝たら2度起きれなくなるのでは無いかと深層心理に刻まれてから不眠症になってしまっていた自分は明日の朝に予約をさせて頂いている朝食まで2〜3時間寝れたら大丈夫かと思いスーさんにカジノをちょっとだけ見てみたいんですと話していました。

 

 

「カジノ・ド・モンテカルロに入るのですか?」

 

 

 

と珍しく臆しているスーさんに取り敢えずこのレストランの横にあるカジノに寄ってみるのはどうでしょう?と提案をされて勿論良いですよと食事を終えてカフェ・ド・パリのカジノへ入らせて頂きました。

 

 

テーブルゲームのポーカーやブラックジャックバカラなども楽しそうだったのですがキラキラくるくると回るビデオのスロットマシーンに興味を惹かれ高さが2メートルくらいはある映画タイタニックのスロットマシーンで1時間くらい遊びながら感じた事は雰囲気的には以前によく行っていた事のあるゲームセンターをド派手にした印象でした。

 

 

 

 

年齢層も18歳くらいの何人かで来ている人たちも居ればご年配の一見1人に見えるお客さんまで幅に富んでいて、この楽しめる娯楽場が撮影禁止なのが勿体ないと思ってしまう煌びやかさを覚えました。

 

 

 

 

それにしても色々な種類があるのだなとフリースピンが来て元の入れたユーロくらいに数字が戻ったので出してみるとバーコードのついた1枚の紙が出てきました。

 

 

 

 

この紙が別の機械でお金と同じ扱いに出来る仕組みになっていて面白い作りだなーと感心してしまいました。

 

 

 

「あっちのカジノは行かないんですか??」

 

 

 

と言う先ほど聞いたような日本語が耳に入り振り向くと、どうやら勝たれたみたいで嬉しそうな顔をしたスーさんが居て手にはバーコードが印刷された紙をしっかりと持たれていました。

 

 

 

 

話しを聞くとビデオゲームのポーカーでフルハウスが当たりそのままダブルアップを何回か成功させれたようでした。

 

 

「さっきまで行きたくなさそうにされていたのに楽しめたようですね!」

 

 

とこちらまで嬉しそうなお顔を見てウキウキして話すと

 

 

「今日はラッキーなので、この勝った分だけなら私も行けます。」

 

 

のお返事にそれは名案ですねとカジノから次のカジノへ行く姿を思い浮かべてしまい面白くて笑いながら自分も答えてしまいました。

 

 

 

 

徒歩でこの場から10秒くらいで行けるカジノ・ド・モンテカルロへ向かうと入口のセキュリティーの人に時計を指差しながら何かを言われ時計を見てみると深夜の2時近くになっていて閉店時間が近い事を知りました。

 

 

 

 

自分の勝手な想像でカジノはてっきり24時間ずっと営業しているのかと思っていたら14時から朝の4時までとキチンと定時がある事が解り勿論、大丈夫ですよちょっと見てみたいのでと言う気持ちをお伝えさせて頂きました。

 

 

エントランスで10ユーロ支払い入場チケットに自分の名前が刻まれているのを見てお土産になるなーと嬉しくなって歩いていると

 

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「インターネットで調べたところオテル・ド・パリの宿泊者は入場料はいらなかったかも知れません。」

 

 

と申し訳なさそうにスーさんが言うので

 

 

「このチケットはモナコのこの場所に来た記念になるのですからお土産に買えたと思えば良いではないですか。」

 

 

 

の自分の言葉に、それでしたら良いのですがと勝負の前の出銭はゲンが悪いと思われたのか落ち気味のスーさんをなだめて入ると5分前のカフェ・ド・パリのカジノとは違った意味の異空間でした。

 

 

 

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各部屋ごとに、ここはポーカーの部屋でこっちはバカラの部屋とそれぞれにゲームが分かれているようですが何より内装がとんでも無く豪華で美術館にありそうな絵画にステンドグラスや広い空間を象徴させる高い天井からはいくつものシャンデリアが付いています。

 

 

 

あながち宮殿と思っていたのは間違いでもなく本物のお城のようでその中にビシッとドレスコードの決まった紳士淑女の皆さんがグラス片手に話されたりしているのを見て日本には無い正に社交場と言う文言がピッタリの雰囲気に

 

 

 

「ふぁー、めちゃくちゃ綺麗。」

 

と口に出して言ってしまいました。

 

 

そう言えばスーさんはさっきの勝った分の勝負をしたかったのだと、もの凄い空間に魔法をかけられたようにポカーンと口を開けながら見歩いている自分は我に返りスーさんの方を見てみると同じくポカーンと口を開けたままであたりをキョロキョロしている姿を見て、それはそうですよねこんな空間の中に初めて入ったらそう成ら無い訳ないですもんねと思いました。

 

 

 

 

 

一通りこの素晴らしい空間を目で堪能させて頂くだけで30分も経過していました。

 

 

 

 

成る程セキュリティーの人はこれで賭け事を楽しむ時間が少なくなる事を見越して時間が無いと言って下さったんだなと温かい気持ちになりました。

 

 

 

 

先ほどお隣のカジノでやらせて頂いたようなスロットマシーンやビデオゲームもあるにはあるのですが自分がその部屋に入った時は殆どお客さんが居なくおおかたの人はテーブルゲームの卓に着くか周りで見ているかで優勝者を決める白熱した真剣勝負をYouTubeで流されている場面が実際に目の前で行われていて吸い寄せられるように周りで見ている人の中に自分も入って見入っていました。

 

 

 

 

テーブルの上に積まれたチップの多さからしてかなりの額を賭けられているのだと解り見物人には見えないカードの手に2名がつりあげて行き他の人は勝負から降りたりしているうちにディーラーさんがカードを開かれ勝敗を決して行く過程のやり取りは本当に良い手であったりブラフであったりと人それぞれですが、それを一切表情に出さない人の顔を見てこれが本当のポーカーフェイスと言うものなのだと思いました。

 

 

 

それに比べてルーレットはディーラーさんとの読み合いの勝負みたいで赤か黒かの2択に賭けている人もいればいくつかの数字にその人なりの読みで賭けている人もいらっしゃいました。

 

 

どれも面白そうではありましたがポーカーも日本のポーカーとは少しルールが違うらしく、いかんせん言葉が解らない自分には出来るものが無く行く先々の部屋の素晴らしさとテーブルでの真剣勝負を見るくらいでやっと理解出来るのがブラックジャックのテーブルでした。

 

 

 

 

特に賭けをしたいと言う気持ちも無くこのカジノの雰囲気を味わいたいと思っていたので見ていて解るブラックジャックのテーブルでのディーラーさんとお客さんとの勝負を見ていると卓に座られていたお客さんが大勝ちしたのか抜けられてディーラーさんから

 

 

「やりますか?」

 

 

のような言葉を投げかけられました。

 

 

折角、空いた幸運の場所に呼んで下さったのが嬉しくてタイタニックのビデオスロットで替えたユーロの分をチップにしてもらい21をみざして何度かやらせて頂きました。

 

 

最初のうちは勝ったり負けたりの繰り返しだったのですが何回か連続でディーラーさんの強い手が続き自分を含めたテーブルのお客さん側が負けてしまった時にディーラーさんが好きな数字を出せるのだとしたら次は勝たせてくれるのかもと思って減ってしまった残りのチップを全部入れる事にしました。

 

 

 

 

 

8のカードが2枚配られ16だったのでスプリットと言う8にまた1枚ずつ配ってもらえるアクションのためにチップを取っておけば良かったな、、と思いながらそのまま見ているとディーラーさんの数字が15でもう1枚引かれて7が来たので21を越えてしまったバーストと言うもので、たまたま負け額の半分くらいが帰って来ました。

 

 

 

 

ちょうどそこにビデオゲームのポーカーでまたまた勝てたらしいスーさんがニコニコしながら話しかけて来られ

 

 

 

「今のは勝ったのですか?」

 

 

と聞いて下さったので。

 

 

「今のは、たまたまディーラーさん悪い数字でこちらが勝てました。」

 

 

 

と返事をさせて頂き

 

 

「それは良かったです。そろそろ閉店の時間みたいですね。」

 

 

と教えて下さったのにアッと言う間に時間が経っている事に気が付きました。

 

 

それなら楽しい時間を過ごせたしジェームスボンドが勝負に使った場所でカジノを体験出来た事に満足をしていて負けを取り戻せていない事はスーさんに伏せてディーラーさんに有難うと日本語で伝えて抜けさせて頂きました。

 

 

 

 

フランスやモナコに来て思った事が片言で自分が英語のサンキューを言ったりフランス語のメルシーと言うよりも、日本語で有難うと言うと相手も嬉しそうな顔をして下さる事が多々ある事でした。

 

 

 

 

翌日のホテルの朝食は朝の8時なので約4時間で朝食だと思うと初日から思いっきりモナコを楽しめたと思えて充実した気分でカジノを後に出来ました。