第2章 「来ちゃった!」
これまでに約2年半で
フランス
イタリア
韓国
スペイン
香港
マレーシア
エジプト
と旅行で廻らせて頂いていますが自分の足は20歳の時に負った火傷の怪我から障害者になって元よりは確実に残りの歩ける時間が少なくなってしまっていて残りの人生で後どのくらいで歩けなくなるかが読めないので後悔をしないように生きてる間に歩く事が可能な限り未だ見ぬ世界を見てみたいと行った事の無い海外へ行こうと決めた事が旅行を続けている要因になっています。
そして実際に自分が海外旅行に踏み切れたのは池袋にある自分がお世話になっているナイトキングというBARで海外旅行にとても詳しいスタッフさんに教えて頂いたお話しで
「フランスのパリに行った時に見たサントシャペルのステンドグラスは
これまで生きて来た中で5本の指に入る感動でしたね。
裁判所の敷地の中にあるんですけど。笑」
と言う言葉が旅行に出る行動のきっかけになりました。
裁判所の中にある感動出来るステンドグラス??
胸の中で高鳴る自分のこの好奇心には敵いません。
豊富な海外旅行の経験をお持ちのスタッフさんがあそこまで言われるなんて、、、途轍も無い感動がそこにはあるのだと直感致しました。
これまでそのスタッフさんとはお店でカウンター越しに沢山の良い情報をいつもお教え頂いていて沢木耕太郎さんの書籍、深夜特急が好きである共通点からよく海外旅行のお話しを聞かせて頂きにもお店に伺わせて頂いていました。
旅行の日程をカレンダーを交互に見ながら旅行会社の担当さんに電話で話させて頂き、スケジュールを組んでナイトキングに旅行前のご挨拶に伺わせて頂くとオーナーの荒川社長が優しく迎え入れて下さいました。
そしてナイトキングとCOMBOと言う荒川社長がゼネラルマネージャーをなされていらっしゃる団体のコラボレーションTシャツが偶然、フランス出発の当日に出来上がり届いた事もお教え下さりました。
Tシャツは背中に日本語で
「来ちゃった!」
とプリントされていてこの面を裏表を反対にしてエッフェル塔の前でフランスに来ちゃったと言う写真を撮ってSNSにアップをさせて頂いて来ます。
と目標を加えさせて頂き旅行の楽しみがお陰様で増えました。
2016年12月
フランスではそこら辺で普通に出てくるパンまで凄く美味しいなどの情報をガイドブックを読みながらシャルルドゴール空港までのフライト時間を睡眠、読書、映画などを見させて頂き過ごし空港からタクシーでホテルまで向かって頂きました。
約13時間の直行便のフライトでしたので身体を動かしたくなり、ホテルでシャワーを浴びて来ちゃったTシャツに着替えて早速パリの街並みを見に行こうと支度をしていたらホテルの部屋の真向いのマンションのベランダで外を自分と同じように見ている人が目に入り日本ではあまり見かけなくなったベランダからただ外を見る光景が格好良く見えました。
外に出ると冬のパリは結構な寒さでしたがワクワク感が断然に勝り、取り敢えずの飲み物を買いに近くのスーパーの場所をホテルマンさん教えて頂いてからコンビニの感覚で向かっていると途中に博物館にありそうな綺麗な彫刻が見えて思わず携帯のカメラでシャッターを押していました。
通訳さんのスーさんに何かの建物なのですか?
と訊くと、どうやらキリスト教の教会があるみたいで無宗教の自分ではありますが無性に入ってみたい衝動に駆られ音楽の鳴っているのが聞こえる入口を入るとビタった足が止まってしまいました。
自分が音楽だと思っていたのは教会に集まられていた信者さん達の皆様の賛美歌で美しい装飾の教会内とその歌声に感動してズカズカと入れなかったのです。
もっと見ていたい気持ちを押しとどめて1曲まるまる聴かせて頂いた後に御礼の気持ちで頭を下げて、もう一度寒さの厳しい外に出ましたが心が温かくなっている事に気付きました。
調べてみるとその協会は奇跡のメダイ協会と言う場所で100年以上をかけて建設されたとても有名な協会でした。
感動に浸りながら2~3分で着いたスーパーは正に想像していた外国のスーパーと言った感じで焼鳥1本やコロッケ1個ずつとは違く長方形のケースに並べられたラザニアやヌードルを好きなだけお客さんが取ったり好きな分量を注文する形式で精肉屋さんで○○の部位を何グラム下さいと注文するのに似ていました。
ハムやチーズなども大きなパックがズラリと並び特に面白かったのは鮮魚類でアクリルケースに盛られた氷の上に色々な種類の魚やイカや蛸にロブスターまで、ありとあらゆる魚介類が敷き詰められていて市場のようでこれぞ外国と言った感じにうわーっと思わず笑顔になっている自分がいました。
エッフェル塔に向かう途中に凱旋門がたまたま見えて彼の有名なナポレオンが建設を命じたのに完成する前に亡くなってしまい凱旋門をくぐったのが死後であったと言う歴史を持つ建物に想いを馳せならがシャンゼリゼ通りにライトで凄く幻想的に見える凱旋門の前でも来ちゃったの文字を前に出して撮らせて頂く事にしました。
12月のパリはかなり寒く感じて来ちゃったTシャツの文字を出すために上着のダウンの前を開けて中のシャツのボタンも外してTシャツを出して何回も撮っていると真冬の寒い中で何をやってるんだろう?
と沢山の人が集まり来ちゃったの文字を必死に出していると見ている皆様は笑ってくれさえしました。
有難いことに写真の撮影や荷物を運ぶのを足の悪い自分の代わりに通訳のスーさんがして下さるのでこの点、荷物のスリの心配は減り助かりました。
凱旋門で来ちゃったの記念写真を撮るミッションが終わり次にエッフェル塔までタクシーで向かって頂くと夜のライトアップがされているパリの街並みはとても綺麗でした。
エッフェル塔の近くで降ろして頂くとお祭りの屋台のように1つ1つのブースが独立しているものが数え切れないほど並んでいてスーさんに何か特別なイベントがあるのですか?
と訊かせて頂くとブースの1つに尋ねて下さりそれがクリスマスマーケットなのだと教えてもらいました。
これが、クリスマスマーケットと言うものなのかと感動しながら、そういえばナイトキングのスタッフさんに教えて頂いた1つに
「パリでクリスマスマーケットを見たらホットワインを試してみて下さいね暖まりますから。」
と言うのを思い出し、これは寒い時には助かると思ってブースに沢山の人が並ばれている所で自分もホットワインを一杯お願いさせて頂きました。
一口飲もうとしたら思いっきりむせてしまい周りの人の目に恥ずかしさから顔を赤くしながらもう一度飲もうとしたのですが、やはりむせてしまいます。
どうやらお酒が弱い自分は特に加熱されたワインは苦手のようで一口飲んではむせてを繰り返し1杯飲み終えるのにかなり時間がかかってしまいました。
それでも熱されてアルコール分が飛ばされているのか酔っ払う事はなく体が中から暖まったのが嬉しかったです。
エッフェル塔の真下から見上げてライトアップされている光景は日本の赤い東京タワーを金色にした感じに思えました。
こんな綺麗な物を見られるなんて本当に幸せだな、と思いながらシンミリとエッフェル塔を見上げたまま突っ立っている自分へ真っ直ぐにご年配の女性が向かって来られて
「フィー、フィー!」
と大きな声で繰り返して言われました。
フィーでは無くヒート?暑いと言われているのかと考え、先程のホットワインで暖まりは出来たものの12月のパリはやはり寒いので返答に困っていると一本の薔薇を差し出して下さったのです。
うわー!パリって素敵なことをする人がいるんだな、、と有難う御座います。と言って受け取ろうとすると
いきなりスーさんがその女性に怒り出し何か文句を言っているように見えました。
その言葉に苦虫を噛み潰したような顔をしながら引き返して行かれる女性を見てなんだか申し訳ない気持ちになっていると、今度は自分がスーさんに諭されてしまいました。
「濱安さん、あの女性は観光客に花を無理やり渡してお金を要求する手口の人たちなんですよ。
1人にあげていたらそこら中のホームレスが全員来て動けなくなりますから次からは気をつけてもらいたいです。」
うーん。何とたくましい、、スーさん有難う御座います。
こんなやり取りも有って夕方に到着したパリもすっかり夜になり翌日にはモナコへ向かう飛行機を手配していたため足を休ませないとと考えこの日はホテルに戻らせて頂きました。
寝る前に何かお腹に入れておきたいと部屋のルームサービスの欄を見ているとフランス語もですが英語が読めない自分はお手上げで既に寝てしまわれているであろうスーさんを起こすわけにもいかず、深夜までやっているホテルの中のバーに行きました。
注文を取りに来た定員さんを見てお水が出てこない事を知り定員さんに首を振りながら
「ごめんなさい。アルコールじゃなくてウォーターを下さい。
と思いっきり日本語での注文でしたが何とか汲み取って下さりホッとしたのも束の間でメニューを見ても読めないので周りを見渡し近くのご年配の外人さん夫妻のテーブルにあったスープとハンバーガーを見て
「あのスープとハンバーガーをもらえますでしょうか??」
とこれ又、日本語でお願いさせて頂くと
「大丈夫、話せないのは解ったよ。
あのスープとハンバーガーだね?」
みたいな返答を指をさして笑顔でして下さったので助かりました。
15分くらい待たせて頂いてテーブルに来たスープはギャグみたいな大きさで1リットルくらい入っていました。汗
近くのご夫婦はシェアされていたのだと解り減っていたお腹にアツアツのスープを頬張りました。
うん。美味しいし暖まると全部飲み干してチーズが入ったハンバーガーとフライドポテトも全て食べきると
「もう全部食べたのかい??」
みたいな事を自分の前に並んでいた料理が無くなったテーブルをビックリした表情で定員さんが言われていたので、いっぱい食べるんです。
と応えたかったのですが外国語が話せない自分は
とここはフランスだよ、、なんでイエスって言ってるんだろうと自分自身にツッコミそうになりながらお会計を済ませると先ほどの定員さんが何かを言いたそうにしていました。
おそらく沢山、食べるんですね?とか日本から来たのですか?など興味を持って下さって話したいのだろうけど何しろ1人で意思の疎通が出来ない自分には答えようがなくて、そのまま有難うと言ってお店を出るしか有りませんでした。
その部屋への途中に当時、日本で大ヒットしていた
「君の名は」の映画のポスターが
「ユア ネイム」と書かれていて海外でも人気なのだと日本のアニメって本当に素晴らしいと思うと同時にそうか、ここは日本では無くフランスなのだった、さっきのお店の定員さんはチップの事を言いたかったのでは無いかと思うと合点が行き部屋で眠りにつくときに今日の花を受け取ろうとした事やチップを忘れてしまった失敗を次からは忘れずにチャンスに生かそうと携帯にメモをして目を瞑りました。